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そして、私は目覚めた。
真っ先に見たのは無機質な壁。
真っ先に感じたのは、どうしようもない孤独。
……いつものことだから、慣れてはいたけれど。
だから、
「おはよ、おねーさん」
真っ先に聞こえた、いつものように投げかけられた彼の言葉も。
いつもと同じ朝。
いつもと同じ、同じ高さの彼の姿が……
「……」
そこにあるものが、いつも通りであるはずが無かった。
彼の……左肩から先が、無い?
「ん、どしたの?」
「……あなた、それ……左手が」
存在の構成が崩れたかのように、不自然な切り取られ方をしている。
あまり考えたくはないけれど……血も出ていないし、切り取られたとは考え難い。
「ああ、これ?」
自分の左手があるべきはずの空間を見て、彼は笑った。
「だって仕方ないよ。この子、最期はこの姿だったんだもの」
「………………え」
何を、言っている?
「最期はどうしても似ちゃうんだ。こればっかりはさ、どうしようもないから」
彼は。
何のことを、言っている?
「あなた……」
「……うん。まあ、何となく察してもらえると助かるんだけど」
ふと、気付く。
私とほぼ同じ背だったはずの彼は、いつの間にか縮んでいた。
いや。
縮んでいるんじゃない。
それはただ単純に、両膝から下も左腕と同じようになっていたから。
「知りたいなら、教えてあげるよ。おねーさんの未来と引き換えにね」
「私の……未来?」
「うん。だって、本当のことを知ったら絶望しちゃうから。だから、平穏なままか絶望するか……どっちかを選んで」
「それって……」
何を、と続けようとした私の唇を、彼の右人差し指が塞ぐ。
「っ!?」
驚く私を笑いながら、彼は呟いた。
「……もう、時間がないんだ。伝えきれるかどうかもわからない。だから、すぐに決めて」
笑っていた。
けれど、とても悲しい笑顔だった。
それは、気付けばこの世界が崩れかけていたから?
……それとも、
「教えて。私のことも、あなたのことも」
私のこの答えを、予想してのものだったから?
……そっか。
じゃあ、教えてあげるよ
……そして、私は目覚めた。
ゆっくりと寝ていた機械から降り立ち、認識する。
彼の言っていたことは間違っていなかったのだ、と。
ひび割れた大地に、朽ち果てた建物。
黒く澱んだ空に、遠くで見える光は……わからない。
わからないけれど、あの光を目指したらいけない、そう漠然と感じた。
永遠の安らぎの代わりに、孤独という名の絶望を抱いて。
私は、どこまで生きていけるのだろう。
*****
以下、あとがきです。
今回のテーマ&題名から察せた方もいるかとは思いますが、崩壊する世界で機械に守られていた女の子のお話です。
……科学、というよりは以前のテーマ『終末』っぽい気がしなくもないです。
あと、例によって暗いですが仕様ですのでご容赦下さい。