「まほろ駅前多田便利軒」 三浦しをん 
唐突ですが、便利屋と探偵は似ていると思う。 知り合いに便利屋はいないのですが、探偵になった男なら知っています。 学生の頃アルバイト先のドーナツ屋で知りあった高校三年生は、

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「まほろ駅前多田便利軒」 三浦しをん 

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唐突ですが、便利屋と探偵は似ていると思う。
知り合いに便利屋はいないのですが、探偵になった男なら知っています。
学生の頃アルバイト先のドーナツ屋で知りあった高校三年生は、博打好きで400万円程の借金を抱えていました。
当時の私には、高校生に400万円を貸すシステムが日本にあること自体が驚きでしたが、返すあての無い借金を抱えながら、毎日ひょうひょうと暮らしている高校生の存在はもっと信じられませんでした。
彼はそこそこ優秀な高校の生徒でしたが、受験勉強も就職活動もしていませんでした。
高校を卒業しても、フリーターとしてバイト先に残っているのだろうという大方の予想に反して、春になると彼は街からいなくなりました。
噂では興信所で働いている別居中の父親を頼って、上京したという事でした。
一年ぐらいして、バイト先でも彼の話題が全く出なくなった頃、彼が死んだと言う噂が流れました。
彼を知る人間は、彼の噂を肴に泣きながら酒を飲みました。
しばらくして、今度は彼と父親が借金取りにボコボコにされていたと言う噂が流れました。
死んだというのは、借金から逃れるための嘘の噂で、地元に顔を出した時に借金取りに捕まったという話でした。彼らしいオチです。
彼を知る人間は、彼の噂を肴に笑いながら酒を飲みました。
人間、生きている事が大切です。



「まほろ駅前多田便利軒」は第135回直木賞受賞作品です。
直木三十五って最も有名で、最も作品が知られていない作家だと思いませんか?
直木三十五の小説の題名を何作品言えます?
それはさておき、レビューです。

東京のはずれにある”まほろ市”(東京・神奈川の人なら町田がモデルとすぐ判る)で、多田便利軒という便利屋を営む多田啓介は、ひょんなことから高校の同級生、行天春彦を事務所兼自宅に居候させることになります。
お互いにバツイチで今は独身の二人が、奇妙な共同生活をしながら、事件に巻き込まれたり、取りあえず収束させたり、多田便利軒の一年を描いた物語です。
誠実に便利屋の仕事を営もうとする多田と、仕事を手伝っているのか、トラブルを招き寄せているのか判らない行天のコンビが、いい味を出していて、最後まで一気に読ませます。
全体に流れるテーマとしては家族の喪失と、擬似家族の構築というようなものがあって、主人公コンビも仕事の依頼主達もみな一様に壊れた、あるいは壊れかけた家庭が背後にあります。
そんな背景が、軽い語り口の物語に厚みを与えています。
・・・なんですが、ライトノベルだと思って軽く読むのが一番いいと思います。(挿絵も漫画家の下村富美さんでライトノベル的)
TVドラマの「傷だらけの天使」を少し思い出しました。マンガやドラマにしても売れそうです。
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ザネリさん
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