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■『ゲームセンターあらし』のキャラができるまで
さて(いきなり唐突ですみません)、ここで、ちょいと昔話でもしてみたいと思います。i-revoでもリバイバル連載が始まった、あの『ゲームセンターあらし』が登場した頃のお話しです。たしか1978年秋のことでした。
『ゲームセンターあらし』は、突然、降って湧いたようにはじまることになったマンガでした。だって「コロコロコミック」の編集部から依頼が来たときには、『ゲームセンターあらし』という題名も決まり、「テレビゲームを題材にしたマンガ」ということも決まっていたんですから。
でも、決まっていたのはタイトルと題材だけ。どんなストーリーになるのか打ち合わせもしていないうちに、「表紙の入稿締切がギリギリなので、表紙に入れる主人公のカットだけ先に描いてほしい」という注文。マジメな話になるのか、ふざけたストーリーになるのかも決まっていない段階で主人公の絵を作らないといけないのは、かなりシンドイ話です。でもやらなければいけない。
このとき編集者からは、「すがやさんのこれまでの作品、主人公がハンサムなものがほとんどだったけれど、それだと主人公がハチャメチャできなくなるので、不細工な顔にしてほしい」という注文がつきました。そうなんですね、この直前、「コロコロコミック」に2回ほど執筆した作品は、恩師の石ノ森章太郎先生が描きそうなハンサム系の主人公が出てくるSFマンガでしたが、整った顔の主人公は、やはりハメをはずせないんです。
ギャグマンガなら描いたことがありますが、でもストーリーマンガで不細工な顔の主人公を描いたことがないため苦慮していたら、「とにかく時間がないので、何点か描いてくれたら、こちらで選びますよ」と編集者はおっしゃいます。
それならば……と5点ほど主人公の顔を描き、自分で第一候補にしたものにだけ、絵の具で色をつけて渡しました。
ところが翌日、ストーリーの打ち合わせにやってきた編集者が言うことには、「あの色のついていた絵は良くないので、別のにしておきましたから」といって、表紙レイアウトのコピーを見せてくれたのです。
右の画像の上が、こちらが本命のつもりで描いたキャラクター。下の画像が、オマケのつもりで描いたものです。色のついていない絵に印刷の段階で、本命キャラを参考に色がつけられ、表紙になってしまったわけです。
こうなればもう、このキャラクターを主人公にするしかありません。とりあえず『ゲームセンターあらし』という題名は決まっていたので、主人公の名前は「あらし」で決まり。姓は、ぼくが住んでいたアパートの斜め前に住んでいた石津嵐さんという小説家(虫プロ出身で、小説版『宇宙戦艦ヤマト』など多数のジュブナイルを書き、現在は別の名前で時代小説を執筆中)の名前をもじって、「石野」になりました。1回の読み切りマンガの予定だったので、主人公の名前も、実に安易につけられたのでした。
そして、ストーリーづくりに入るわけですが、その前に、編集部で企画が先につくられた『ゲームセンターあらし』の作者に、どうしてぼくが指名されたのか? その理由をお話ししたいと思いますが、それは、次回に……。