夏の出来事 氷室ver (GS妄想倶楽部)
 本日は家人が居ないので、PCに向かってカタカタできてます。 夕方には出かける用事があるので時間は限られているんだけどね。 そんなこんなで、ようやくGS妄想倶楽部のお題に

香月 美夜さんのブログ記事

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夏の出来事 氷室ver (GS妄想倶楽部)

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 本日は家人が居ないので、PCに向かってカタカタできてます。
夕方には出かける用事があるので時間は限られているんだけどね。
そんなこんなで、ようやくGS妄想倶楽部のお題に手を付けることができましたvv

部長、遅くなってごめんね。


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*夏の出来事*

 「零一さん、せっかくの夏ですけど、どこかに行きません?……どっか行きたいなぁ」

くるくるとストローを回して、カラカラと涼しげな音を立てる氷を見つめながら彼女がポツリと呟いた。
零一は夏休みの恒例行事である二学期の期末考査の準備を進めながら、ちらりと彼女の様子を伺う。
確かにここ最近デートらしいデートはしていない。
大抵は零一の部屋に来た彼女が本棚を漁り、零一自身も自分の仕事を優先して過ごすのが常になっていた。

…そろそろ何か言い出すだろうとは思っていたが…

零一はカレンダーに視線を向けて考える。
興味の対象がくるくると変わる彼女にしては比較的我慢していたほうかもしれない。
少しは戸外に出てみるのもいいだろう。

夏といえばお化け屋敷。零一には譲れない場所だ。
彼女の学生時代にも足を向けては、面白いほど怖がっていた。
苦手を克服するためという大義名分を持って入ったお化け屋敷。
実は泣きそうになりながらしがみついてくる彼女がいつもとは違ってひどく可愛くて病み付きになったなんてとても言えないが。

「確かお化け屋敷が開催されていたな?」
「お化け屋敷は嫌です!!お化け屋敷に行くくらいならメリーゴーランドに乗ります!!」

キッと睨みながら彼女は断固として反対する。
その程度の反論なら予測済みだ。
零一はいかにして言いくるめるかゆっくりと考え始めた。

「・・・・・・遊園地ではお化け屋敷。日本の夏の風物詩だ。軽んじるわけにはいかない」
「夏の風物詩なら海でしょ?だったら、海水浴に行きましょう!」

びしっと窓の外に広がる青い海を指差す彼女につられて零一も窓の外を見た。
容赦なく照りつける太陽の光を反射して、目を射るほどに水面が輝いている。
あの炎天下で時間を過ごすのはかなりの苦痛だ。
何より、海ということは水着姿になるということ。
彼女に男の視線が集まることは簡単に予測できる。
実に面白くない予想に眉を寄せつつ、零一は目の前で海の素晴らしさを滔々と語る彼女の白い肌を見つめる。

「・・・・・・海に行くのはいいが、君は日焼けが大変なことになると言っていなかったか?」

学生時代の体育祭でも日よけ対策を怠らなかった彼女の白い柔肌。
日焼けが火傷のようになって大変なことになると言っていたのは記憶違いではないはずだ。
案の定、彼女は言葉に詰まって不満そうに眉を寄せた。

「うぅ~っ・・・・・・じゃあ、花火大会!」
「校外指導だ」

妙案とばかりに目を輝かせている彼女の意見をばっさりと切り捨てる。
こればかりは仕方ない。仕事の一環なのだから。
しかし、彼女はひどく不満そうに頬を膨らませた。

「・・・・・・・・・・・・零一さんは私とデートしたくないってことですか?」

相変わらず思考回路が読めない。
どうしてそういう結論になるのか基本的に理路整然と考える零一には全く理解できなかった。
理解できなくても対処法は心得ている。
沈黙していると『肯定』とみなされて、更に理不尽で理解不能な言葉が返ってくるので即座に否定しておくことが重要なのだ。

「そんなことは言っていない」
「言ってます!!だったら、どこなら一緒に行ってくれるんですか!?」

軽く零一は溜息を吐いた。
彼女が他人の話を聞かないのも今に始まったことではないが、こうも頻繁では呆れるしかない。

「お化け屋敷はどうか、と尋ねたはずだ。何ならホラー映画でも一向に・・・・・・」
「そんなところには行きません!!」

言葉途中を遮って断固として拒否した彼女を零一は軽く睨む。

「・・・・・・デートしたくないのは君のほうではないのか?」
「そんなこと言ってません。でも……」

もごもごと呟きながら、彼女はずずっとストローに口を付ける。

「・・・でも、ではわからない。意見があるならはっきりと言いなさい」
「・・・・・・海も花火大会も学生時代には行けなかったじゃないですか。・・・・・・社会見学で誘ってくれないかなって水着も浴衣も準備して待ってたのに・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
「恋人になっても・・・・・・やっぱりダメなんですよね」

つまんないなぁ・・・と肩を落としながら呟いた彼女の姿に罪悪感が募る。

「・・・・・・すまない」
「いいんです。仕事なら仕方ありませんから。今年も珪くん誘ってみます」

・・・今年『も』?・・・

ひくっと口元が引きつったのがわかる。
ここで葉月の名が出るのが零一にとって面白くないことだとわかっていて、言っているのか。
それとも、わかっていないのか。

「葉月と行くのか?」
「はい。だって、他に付き合ってくれる人いないんだもん。・・・・・・友達って皆恋人と行くから。珪くんなら零一さんもよく知ってるし、安心でしょ?」

・・・『安心』だと!? 本気か? 本気で言っているのか?・・・

こめかみがぴくぴくと波打つ。
楽しそうな彼女の顔を見る限り、本気だと言うことがわかる。
彼女は本気で葉月を誘って花火大会に行くつもりである上に、零一が葉月には信用を持っていると思っているようだ。
勘違いもはなはだしい。
零一にとって葉月は一番注意する必要がある相手なのに。

・・・危険だ。あまりにも危険すぎる・・・

思い立ったら即実行する彼女は早くも自分のバッグに手を伸ばして携帯電話を手に取ろうとしている。
零一は彼女の手を押さえながら、軽く溜息を吐いた。

「よろしい。校外指導はなるべく早く終わらせる。だから、ここで待っていなさい」
「ここ?」

わけがわからないと言いたそうに彼女が首を傾げた。
零一は窓を指差す。
今は容赦なく照りつける太陽の光を反射して、目を射るほどに水面が輝く青い海も花火大会の時にはすべてを飲み込むような夜空とそれを彩る華麗な花火を映し出すはずだ。

「ベランダからも花火がよく見える。祭りに行くだけの時間は取れないだろうが、ここから眺めるだけなら何とか都合がつくだろう」
「じゃあ、じゃあ、浴衣着てきてもいいですか?」
「好きにしなさい」

零一の口からは思わず苦笑が漏れる。
どうやらご機嫌はすっかり直ったらしい。
結局外に出かけるわけではなくなったのだが、彼女の機嫌が直ったなら問題はない。
何やら楽しそうに、『今年は浴衣を新調するかどうか』で悩む彼女がぽんと手を打って視線を上げた。

・・・何を思いついた?・・・

何となく嫌な予感がする。
目を細めて彼女を見れば、うふふ・・・と楽しそうな声を上げた。

「零一さんも浴衣着てくださいね」
「……それは何故だ?」

校外指導から帰ってきて、わざわざ浴衣に着替える意味がわからない。

「花火大会と言ったら浴衣! 花火も浴衣も日本の夏の風物詩! 風物詩を軽んじるなんてできませんもんね?」

彼女に言質をとられたのは夏の暑さのせいだということにしておこう。
零一はエアコンのきいた部屋の中、そう考えながら軽くこめかみを押さえた。


以上。

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久し振りに書いたからかしら?
愛が止まらなくて思ったよりも長くなっちゃったみたいです。(笑)
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